Mediterranean and beyond

TokyoからBarcelonaを超えTel Avivまで。海と空をまたぐおもしろブログ。

Coller School of managementのDeanの話

昨日からテルアビブに来ている。所属しているIESE MBAの交換留学プログラムの一環でテルアビブ大学のColler School of Management在籍する予定で、2ヶ月の滞在となる見込み。昨日着いて早速街の中で色々と発見があるのだが、その辺はおいおい。

 

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今日は交換留学生の初日ということで、様々なセッションがあったが、とにかくColler School of Managementの学長(Zviran氏)によるプレゼンが良かった。

 

まず、イスラエルが何で生計を成り立ててきたか、という話から始まるのだが、これが

今のハイテク国家を築き上げるまでの変遷がわかって面白い。

イスラエルは20世紀初頭頃からほぼ1から国を築き上げてきたが、国を養っていくためにまず最初に基幹産業としたのは、オレンジだった。Jaffa Orangeと言われるもので、温暖な気候を利用して寒冷なヨーロッパに売って儲けた。その次に注目したのが、コットンを使った繊維業。そこからワインへと続く。これらはすべて農産品であるが、問題なのはイスラエルは基本的に砂漠地のため、水がない。だから、砂漠で最小限の水の使用で済むように、灌漑技術が発達した。農産品の他にもファイバー(?)を使った車や、産業部品を作ったりし、現在の主力であるソフトウェアを中心としたITに続いていく。

ここで面白いなと思ったのは、この国は建国が20世紀に入ってからだから、常に何か1から事業や産業を作り上げてきたんだな、と思ったこと。とにかく稼がないと国が回らないから、何か商売の種になるものを作ったり取引したりできないかと考えてきた。プレゼンの中で明言はされていなかったけど、この歴史が、今"Start up nation"と呼ばれているイスラエルを作った一つの要素なんじゃないかと思った。

 

次に、イスラエルでなぜ起業大国になったのか、という話があった。産官学が連携して、という話があった上で、なぜイスラエルに優れた起業人材が多く輩出されるかという話になり、鍵の一つとしてやはり軍隊の存在が挙げられていた。

イスラエルには兵役があり、若者は一定年数軍隊で働かなければならないのだが、周辺国との緊張がある中でリアルな現場で若くとも自ら判断をしなければならない経験をし、これがDecision Makingの力を高めるとプレゼンの中で話されていた。

このDecision Makingの力が実際にどう育まれ、どう経営に活きてくるのかの話はイスラエル滞在中もっと咀嚼したいと思ったが、聞く限りでは①そのスキルをスキルとして経営に活かすという話と、②Decision makingの経験をすることで大組織で指示を仰ぐというメンタリティから、自律的なメンタリティに切り替わり、それが起業そのものを行うことを後押しする、という話の二つがあると思った。

この話は、①日本の起業シーンを高めるという話と、②自分のスキル、というどちらの意味でも興味がある。①に関しては学長とも直接話してみたが、メンタリティを育てるという側面があるため、若年期からこのメンタリティを育むようなシステムを導入することが大事だと話していた。

 

最後に、テルアビブ大学としての戦略の話が面白かった。

イスラエルにはWeizman instituteというライフサイエンスに関わる世界的な研究機関や、テクニオンという優れたエンジニアリング人材を輩出する大学など、幾つもの優れた学術機関がある。その中でテルアビブ大学をどう位置付けるかという話があり、現在の戦略は"Entrepreneurship"で圧倒的な地位を確保することを掲げている。

実際、テルアビブ大学はEntrepreneurshipの分野では世界の大学の中で9位というランキングを持っており、その規模とリソースを鑑みても異様に高い位置にいる。これは、高い技術や研究能力を持った理系学部に加え、それを世の中に出していくためのマネジメント能力が身につく学部の両方を抱えるテルアビブ大学の特徴を活かした結果、実現されている。

この話も、個人として興味があるのはこれを日本にどう当てはめられるかという点。日本にも優れた研究機関は多く存在するが、イスラエルほどにはそれを事業にマッチさせられていない。この循環をどう作っていくかを、滞在期間中のイスラエルにてヒントを見つけていきたいと思った。

 

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期待通り刺激はありそうだな、という感覚を初日から得ることができて、Goodな日だった。