Mediterranean and beyond

TokyoからBarcelonaを超えTel Avivまで。海と空をまたぐおもしろブログ。

広州ロマン!

ここ1ヶ月程中国に滞在する予定で、今は深センに来ている。上海のCEIBSで授業があることに加えて、香港と深センで現地の企業に会うためで、合わせて2週間程前乗りして中国に入っている。10月にイスラエルに入ってから転々としており、ずっと定住する拠点がない生活が続いている。定住しなくても生きていけるということが十分わかった笑

深センに来た目的はハードウェアのシリコンバレーと呼ばれる街がどんなものなのか暮らしながら体感しよう、くらいのものだったが、一日を使って深センから電車で1時間で行ける広州に足を伸ばしてみた。ちょっとめんどくさいなあと思いながら行ったものの、想像以上に歴史が深くて、すっかりフアンになってしまった。

長州という街は新興の深センなんかより断然歴史が深くて、古くから南方の貿易都市として栄えてきた。歴史の舞台にも数多くなってきており、近世だと19世紀にイギリスと起こしたアヘン戦争の舞台となったり、孫文が臨時政府を置いた場所でもある。19世紀から第二次大戦までの歴史に興奮する者にとっては、素晴らしく見るものが多い街なのである。

 

まず素晴らしいのが、沙道と言われる、かつて英仏の租界があった人工島。まさに出島と同じようなシステムで交易を許されていた英仏が自分たちの居住地として人工島を整備し、行政まで担っていた場所。ここが素晴らしいのは、中国の中にぽっかり欧米の街が現れることもそうだが、かつてこの島に支社を置いていた貿易企業や銀行の建物がそのまま残っており、かつての面影に思いをはせる事ができることだ。例えば、当時の三菱商事や、香港上海銀行の支社の建物が今も存在している。当時、中国を商売チャンスとして見ていた商人たちの面影が見て取れるのである。19世紀の中国は幾つもの戦争があり旧来の秩序が変わる激動の時代であっただろうが、その中で商機を見つけて果敢に市場に参入してくる企業や商人と、それらに影響を受けて変わっていく社会や人々の生活がに、何とも言えないワクワク感を覚える。長崎もそうだが、社会が一気に変わる瞬間にある都市の中の、ポジティブなエネルギーみたいなものは非常に好きだ。そういうことを妄想することができる場所が、沙道。劇的にオススメです。

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三菱商事支社

次に特筆したいのが、懐聖寺というイスラム教モスク。唐の時代にルーツを持っていて、当時のアラビア商人が居住していたエリアにモスクが鎮座している。見た目は中国風の寺院のような装飾がパッと見るとなされているのだが、中に入るとアッラー唯一神とした文言や、礼拝のためのスペースが出てくる。ここが感慨深いのは完全に自分が最近まで中東にいてイスラムの文化に接してきたからで、遠く離れた中国でも信仰が息づいていることに感動するのである。そして、つい直近に訪れた、イスタンブールにある世界最高レベルのモスクであるブルーモスクをここにいる人が見たら、どれだけ感動するかと。モスクとは関係ないがこの寺院の周りはやたらとバザールみたいな小さい商店が軒を連ねていて、もしかしてアラビア商人がいた名残?みたいなことを考えるのも面白い。

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懐聖寺


最後に申し上げたいのが、陶陶居酒家という飲茶の店。魯迅が通った店としても有名らしいけど、ここの飲茶はうまい。出来合いの飲茶を自分で選び、ジャスミン茶を頂きながら食事するスタイルだが、リアル広東料理を味わえる。エビ餃子などは素晴らしい一品。ちなみにこの店があるエリアはアヘンの取引で稼ぎまくった商人が住んでいたエリアで、豊かであったことから様々な文化の発信源になった地らしい。確かに、昔ながらの店が軒を連ねていて、大変賑わっている。アヘンで儲けることの是非はともかく、そうした歴史的背景も楽しみながら歩けるエリア。

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陶陶居酒家


5時間で6箇所回ったので他にも色々行ったが、この辺りが個人的にはベストスポット。新卒で商社に入っているだけあって、商人という存在が見え隠れする場所は好きで、なぜなら商売があるところは何となくポジティブなエネルギーがあって、新しい物と人が混じり合い、新しい時代を作っているように思えるからだ。そしてこれはこれから行く香港でも大いに感じることができると期待している!