Mediterranean and beyond

TokyoからBarcelonaを超えTel Avivまで。海と空をまたぐおもしろブログ。

シェアリングエコノミーの完成形? - Kibbutz

Abraham toursという旅行会社のツアーで、テルアビブの北にあるKibbutzという共同体を訪れた。

Kibbutzというのは元々はロシアに由来するコンセプトで、ロシア人が現在のイスラエルのエリアに移住し始めた20世紀初頭頃に、コミュニティの人間がそれぞれ生活を支え合うために作られた村のようなもの。この村の中ではあらゆるものがシェアされており、村の持ち物として自動車が共有されていたりとか、中央洗濯所のようなものがあり皆で共有する大きな洗濯機があったりする。

村の中における様々な仕事は分担制になっており、村人のための食堂の仕事であったり、村にあるスーパーの管理であったり、村の中のあらゆる仕事が村人によって分担されている(一部、外部の働き手を雇っているケースもある)。村人たちはKibbutzの外での仕事も持っているが、稼いだ収入は全て村の収入になり、訪れたKibbutzの場合は村人は村からNIS 4,000 (約12万円)の資金を毎月もらい生活している。

村人になる権利を得るためには①村人の一人と結婚するか、②村人の子供として生まれなければならない。それでも村人になる「権利」を得るだけで、自動的に村人になれるわけではない。訪れたKibbutzでは村人の数は2,000人程度になっている。

共産主義的な成り立ちのため、貧しい地域なのかと思いきや、経済的には非常に成功していて、イスラエルの中でも有数の裕福なエリアになっている。村の人間が立ち上げたプラスチックのバルブを製造する事業は、何とイスラエル証券取引所に上場している。そうした収入を得ながら、村人たちは悠々自適に暮らしている。桃源郷のような場所なのだ。

現代の社会にとって示唆がいくつもある場所だと思った。まずは、シェアリングエコノミーというものがあるが、それの究極版とも言えるような社会が築かれている。また、この村の中では信頼が担保されているため、セキュリティにかけるためのコストがかからない。さらに、住民は生活に困ることがないから、余暇を使って彫刻等のアートを楽しみ、クリエイティビティを発揮している。ジェレミーリフキンが著作の中で書いているゼロ限界費用が達成されたような社会が実現したら、こんな感じの暮らしになるんじゃないかと思う。古いシステムの中に未来を見たような気がした。

 

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Kibbutzのメンバーの一人が使用しているアトリエ

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街の至る所にある彫刻アート

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洗濯所。左側の壁にある穴のような所に洗濯したい衣服を投げ入れる。

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公立の学校

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ビーチ

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Kibbutz内のダイニング

 

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Kibbutzの全体像